在宅介護での看取りの準備
24時間体制で支える医療・介護チームとの連携
在宅での看取りを安全かつ安らかに行うための鍵は、医師や看護師、ケアマネジャーとの密な連携体制の構築にあります。
在宅療養支援診療所の医師を探す
まずは、通院が困難になった患者の自宅へ定期的に訪問してくれる訪問診療医を確保します。
看取りを前提とする場合、特に重要なのが24時間365日の連絡体制と緊急時の往診体制が整っているかという点です。
これを満たす在宅療養支援診療所であれば、夜間や休日に容体が変化しても、電話指示や緊急往診を受けることができます。現在の主治医が対応していない場合は、地域連携室やケアマネジャーを通じて紹介を受けましょう。
訪問看護師との信頼関係を築く
医師以上に頻繁に顔を合わせ、日々のケアを支えてくれるのが訪問看護師です。
バイタルチェックや点滴管理、清拭といった医療処置はもちろん、ご家族に対して今後どのような身体的変化が起こるか、どう対応すれば良いかを具体的に指導してくれます。
看取りの経験豊富な看護師の存在は、精神的な支柱となります。些細な変化や不安点も共有し、いつでも相談できる関係を築いておくことが大切です。
ケアマネジャーによるプラン調整
病状の進行に合わせて、必要な介護サービスも変化します。
電動ベッドやエアマットなどの福祉用具の導入、ヘルパーの増員、あるいは入浴サービスの利用など、その時々の状態に合わせたケアプランへの見直しを、ケアマネジャーと相談しながら進めていきます。
家族がしておくべき具体的な準備と意思決定
医療チームが整った後、ご家族内で共有し、覚悟を決めておくべき事項があります。
救急車を呼ばないという選択
在宅看取りにおいて最も重要かつ難しい判断が、急変時の対応です。
もし呼吸状態が悪化した際に救急車を呼べば、病院へ搬送され、人工呼吸器の装着や心臓マッサージといった延命措置が行われる可能性があります。
自然な形で最期を迎えたいという本人の意思を尊重する場合、何かあっても救急車は呼ばず、まずは訪問診療医や訪問看護ステーションに連絡するという手順を徹底する必要があります。
いざという時に動揺しないよう、関わる親族全員でこの方針を共有し、連絡先を目立つ場所に掲示しておきましょう。
エンゼルケアの確認
息を引き取った後、お体を清めたり着替えを行ったりするエンゼルケアを、誰がどのように行うかを確認しておきます。
訪問看護師と共に家族が行うケースも増えています。本人が気に入っていた服を用意しておくなど、静かなお別れの時間をどのように過ごしたいか、事前にイメージしておくことも心の準備の一つです。
介護者の心のケアを忘れないでください
看取りの期間は、いつ訪れるかわからない別れに向けて、心身ともに緊張状態が続きます。
私のケアは十分だろうかもっと何かできるのではないかと、ご自身を責めてしまうこともあるかもしれません。
しかし、特別な医療行為をご家族が行う必要はありません。
手を握る、体をさする、声をかける。ただそばにいることこそが、ご本人にとって最大の安らぎとなります。
辛い時や不安な時は、遠慮なく医療スタッフやケアマネジャーに吐露してください。彼らは患者本人だけでなく、支えるご家族をケアするプロフェッショナルです。
ご自身の心と体の健康を守りながら、後悔のない穏やかな時間をお過ごしいただけるよう願っております。
